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在宅事件となった場合の流れ
1 在宅事件はとにかく時間がかかる
あなたがもし逮捕されて身柄を拘束された場合は、法律に定められた期間を厳守して捜査を終え、どのような処分を裁判所に求めるか決めなければなりません。
これは法律に厳しく定められた時間制限であり、捜査機関も優先して対応することになります。
一方で、身柄拘束を伴わない捜査活動は、いつまでに結論を出さねばならないという制限はなく、重要事件が他にあると後回しにされがちであることともあいまって、処分決定までに相当時間がかかることがあります。
実際にかかる日数は捜査機関の忙しさや事案の重要性・優先度により大きく変わりますが、2~3か月程度はザラで、個人的経験では事件が発生し捜査機関が捜査の対象にすることを決めてから1年程度何の動きもなかったことすらあります。
捜査機関から何の呼び出しも連絡もないと、宙ぶらりんの状態に置かれた捜査対象となった方はどうしても不安に思うことが多く、弁護士に相談する場合もそれを訴えることが多いのですが、現実にはご自身が問われている罪とは関係のないところで待たされていることもままあるため、万一そのような状況に置かれたとしてもそこまでおそれる必要はありません。
2 在宅事件の流れ
通常は警察から連絡があり、特定の日の具体的な事件について話を聞きたいと呼び出されることもあれば、内容を明らかにしないで話を聞きたい意向だけ示されることもありますが、そこが被疑者にとっての捜査のスタートになります(捜査機関から見れば、被害届の受理や被害者からの事情聴取、関係先への調査などでずっと前から捜査が始まっていることも多いのですが)。
多くの場合では、警察に出頭した直後には具体的事実を示され、それに関し罪に問われていることが明らかにされた上で最初の認否――事実を認めるか否かを聞かれることになります。
事実を認める場合には、ここで自筆の上申書などを作成してそのことを記録に残すことが往々にして求められます(拒絶することは自由ですが、その場合には早々に警察官による供述調書作成の段階に進むことが多くなるでしょう)。
事実を認めない場合には、捜査機関が、本人が否認した場合でも十分有罪に持ち込めるだけの証拠を握っていると考えている場合、身柄拘束に移行したり、捜査を打ち切って直に起訴という展開になったりすることもありますが、そうでない場合には事情聴取を継続することで何らかの糸口が出てくることを期待してか、引き続き出頭と事情聴取が求められることもあります。
場合によっては、否認を続けているにもかかわらず数週間にわたり長時間の取調べが行われることもありますが、任意に話をしているという建前の元ではこれは際限なく続くことがありますので、事情聴取により生活に悪影響が生じているような場合には、弁護士を付けて捜査活動の適正化を求めたり、違法捜査としてしかるべき対応をさせたりするのがよいでしょう。
事情聴取の結果を記録に残すため、捜査機関からはやがて供述調書の作成を求められることになります。
被疑者にはこれに応じる義務はないのですが、あなたがもし罪を認め、捜査に協力していることで反省の態度を示したとアピールすることを考えているならば、警察官の作文した内容が自分の言い分に合致していることを確かめた上で、署名押印に応じてもよいでしょう。
調書作成時には必ず内容の読み聞かせや訂正すべき部分がないか確認することが義務付けられているので、もし内容に異存ある場合はこの機会に必ず修正を求めなければなりません。
後で話の分かる人に言えばいいやということは通用せず、一度作成された調書はあなたがそう言う話をしたという証拠として残り、裁判で使用されてしまうリスクを生じます。
事実を争っている場合には積極的に供述調書が作られないことがありますが、その機会があればあなたの言い分に筋が通っていて時間を経てもぶれていないことを記録に残すため、逆に利用することもあり得るでしょう。
警察で一通りの捜査が終わった後は、検察に関係書類一式が送られ(いわゆる「書類送検」です)検察官による補充捜査が行われた後、どのような処分を裁判所に求めるか判断を受けることになります。
警察限りで処分されないことが決まる場合も、ごく軽罪の場合にはありますが、通常は検察官の判断を経て処分が決定します。
ただ、警察で十分な捜査が尽くされている場合や、処分をする必要がないことが明らかになっている場合などは、検察官から呼び出しなくそのまま処分が決まることもあります。
検察における捜査が警察のそれと大きく違うのは、供述調書の重みです。
検察官に受けた取調べの時に作った供述調書は警察官が作ったものより信頼性が高いとみなされていて、裁判において必要とされた時には容易く証拠として用いられる可能性が大です。
そのため、検察官のところで供述調書が作られる場合にはその影響力はこれまでのそれとは大きく違うと心掛け、より慎重に言葉を選び、署名を求められた際には自分に不利になる点はないか時間をかけて精査すべきでしょう。
また、検察官の決める処分には、大きく分けて「処罰しない(不起訴、起訴猶予)」「略式命令請求(略式罰金)」「公判請求(正式裁判)」の三つがありますが、このうち「短時間で終了する」「ほぼ間違いなく罰金刑になる」という特徴のある略式命令の手続きは、①被疑者本人が事実を認めている、②被疑者本人がその手続きにかけられることを同意している、の条件が満たされない限り選択されません。
検察官が供述調書でない書面を出してきて署名を求めてきた場合には、この略式命令に関する同意書である可能性が高く、これに署名した場合「罰金刑ではあるが有罪がほぼ確定する」といっていい影響がありますので、十分に考えてからどうするか決める(場合によっては弁護士に相談してからどうするか決める)のがよいでしょう。
検察官が略式にせよ正式にせよ起訴の手続きを取ったら、後日裁判所にて刑事裁判手続きが行われることになります。
ここに至った場合には弁護士がついていてもその決定を覆すことはできませんので、前科を付けたくない、刑事処分を回避したいという希望がある場合には、検察官が判断を下す前に――できれば、検察に呼び出されて出頭する前に弁護士に相談し、依頼することが望ましいです。















