刑事裁判の弁護士費用の相場
1 弁護士費用の項目
「弁護士費用」と言われるものの中には、いくつか項目が分かれていますので、それぞれ解説していきます。
なお、ここで示す金額は、今後消費税の税率が変わることもあるかもしれませんので、すべて税抜きで記載しています。
⑴ 相談料
契約前に相談に行った際にかかる費用のことです。
30分あたり5000円~10000円といった事務所が多いようですが、当所も含めて初回の相談料は無料、というところも現在は多いため、これを活用して弁護士を比較検討するのがよいでしょう。
⑵ 着手金
弁護士と契約した際に、最初に支払う費用のことです。
事件の難易度や弁護士の予想活動量等によって増減するものになりますが、裁判事件の場合、おおよそ、30万~60万程度が多いと思われます。
裁判員裁判や重大事件など、難易度も高く、活動量・作業量も多い事件の場合には、これを大きく上回る場合もあります。
こちらの費用は原則返金されるものではないので、やはり最初の契約の前にきちんと弁護士と話をして、納得した上で契約及び着手金の支払いをすることが大事になります。
⑶ 成功報酬
弁護活動が成功し、有利な結果が得られた場合に発生する費用になります。
裁判事件の場合、基本的には判決に対するもので、多くは「執行猶予の獲得」や、「検察官の求刑から〇割減刑」といった内容になることが多いです。
発生条件などは当然契約書に記載されることになり、事件の難易度や弁護士の活動量等によって増減するものですが、着手金と同額もしくは着手金の10~20万円のプラスとすることが多いように思われます。
こちらも着手金と同様、裁判員裁判や、重大事件などでは、それ以上に高額になるケースもありますし、また、無罪等の難易度の高い結果を出せた場合には、同じく高額になるケースもあります。
また、最終的な結果、つまり判決に対する成功報酬とは別に、示談成立等に対する成功報酬が設定されることもあります。
⑷ 日当
裁判や接見(逮捕・勾留されて警察署等に身体拘束をされている人に、弁護士が面会に行くこと)など、弁護士がどこかに出向くことに対する日当になります。
数時間~半日かかるものだと2~5万円、丸一日かかるもので5~10万円くらいが多いようです。
いずれにせよ、個別に契約で明確にされることが多いです。
⑸ 実費
交通費や切手代、振込手数料や裁判資料の謄写代などの、実際にかかった費用のことです。
2 総額
以上を総合して、トータルでかかる費用の相場についてまとめると、逮捕・勾留されている人の場合、やはり接見により費用が加算されえていってしまうことや事件の難易度も高いことから、100万程度かかることもあります。
逆に身体拘束を受けていない場合には、60万円~100万円程度が多いかと思われます。
ただし、裁判員裁判や重大事件などの場合には、これを大きく上回る可能性があります。
以上が刑事裁判における弁護士費用の相場についてですが、前述のとおり、事件の難易度や弁護士の活動量によって費用は大きく変わってきます。
無料相談を活用してきちんと弁護士の説明を聞いて、納得して弁護士費用を支払うことがとても大事です。
刑事告訴されたら弁護士に相談すべき理由
1 刑事告訴について
刑事告訴は、犯罪の被害者やその親族などの告訴権者が、捜査機関に対し、犯罪の被害に遭った事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。
器物損壊など、親告罪とされている犯罪を起訴する場合については、告訴がなされていることが必要であるとされています。
なお、被害届も犯罪の被害に遭ったことを申告するものですが、こちらは犯人の処罰を求める意思表示は含まれていないという違いがあります。
2 刑事告訴されたら弁護士に相談すべき理由
刑事告訴された事件の被害者らは、犯人に対する厳しい処罰感情を持っているといえます。
処罰感情の厳しさは、検察官が事件の処分、すなわち被疑者を起訴するか不起訴にするかの判断に影響を及ぼします。
そこで、刑事告訴された場合、起訴を免れるには被害者らに刑事告訴を取り下げてもらうことが重要となります。
刑事告訴を取り下げてもらうためには、告訴をした被害者らと話し合う必要がありますが、被害者らが直接被疑者と会ったり話し合いをしたりすることについて難色を示すことは、ままあります。
そうすると、被疑者の代わりに、被疑者のために交渉をする立場の人が必要になってきます。
弁護士は、そのとき被疑者の代わりに、被疑者のために交渉をする立場の人になります。
刑事告訴されたら弁護士に相談すべき理由は、まさにこの点にあります。
3 弁護士は刑事告訴取り下げのためにどのようなことをするか
被疑者から依頼を受けると、弁護士は、刑事告訴を取り下げてもらうため、刑事告訴をした被害者らと交渉をすることになります。
その際、弁護士は、被害者らに示談を申し入れ、示談金を支払う条件として、刑事告訴を取り下げ、被疑者の処罰を求めない意思を明らかにするように申し入れをすることになります。
弁護士は、被害者らと示談金その他条件面について話し合いをし、まとまれば、示談書を取り交わします。
その際、示談書には、示談金の額の他、被害者らが刑事告訴を取り下げることや、被疑者の処罰を希望しないことが記載されることが多いです。
また、被害者らは、捜査機関に対し、刑事告訴を取り下げる内容の書面を提出します。